施工実績

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工事名 堺川2号道路法面工事

発注機関 北九州市
施工場所 北九州市戸畑区大字中原

着工前
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完成
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道路脇の法面防草対策を含めたモルタル吹付工の考察

道路脇の法面では、斜面の安定性を確保することに加え、雑草繁茂の抑制による維持管理負担の軽減が重要な課題となります。道路管理の現場では、除草は交通の安全確保や景観維持のために重要である一方、対象面積が広く、継続的な維持管理コストを要することが指摘されています。

こうした中で、モルタル吹付工は、道路脇法面における表面保護と防草対策を兼ねた工法として、現在でも実務上高い有効性を持つ工法のひとつです。法面表面を被覆することで、雨水による侵食や風化の進行を抑えるとともに、草木の繁茂を一定程度抑制できるため、草刈り回数の低減や維持管理の省力化につながります。道路法面の設計・維持管理では、法面保護工や排水工を含めて現場条件を総合的に判断し、調査・設計・施工・維持管理の各段階で適切に対応することが求められています。

特に道路脇の法面では、単に「斜面が崩れない」だけでは不十分です。見通しの確保、側溝や排水施設の機能維持、落葉や雑草による通水阻害の防止、除草作業時の安全確保まで含めて考える必要があります。その意味で、防草対策を含めたモルタル吹付工は、防災・維持管理・安全性の三つを同時に意識した工法として評価できます。防草対策は施工直後の見栄えを整えるだけでなく、将来的なライフサイクルコストの抑制という観点でも重要です。実際に道路法面の防草対策について、設計段階からLCCを考慮した施設整備の必要性が報告されています。

一方で、モルタル吹付工にも留意点があります。法面の条件によっては、経年によりひび割れ、目地部の開き、端部や側溝際からの草木侵入、排水不良に伴う局所的な劣化が生じることがあります。したがって、道路脇法面にモルタル吹付工を採用する際には、吹付厚だけでなく、下地処理、端部処理、側溝や小段排水との取り合い、背面水への配慮まで含めた設計・施工が極めて重要です。草を止めても、水が暴れれば現場は黙ってくれません。そこは昔も今も同じです。これは、地下水が多い場合や侵食に弱い土質では、法面排水工などによる対策を併せて講じるべきとする技術資料の考え方とも整合します。

また近年は、防草対策を目的とした吹付系の新技術も現れており、従来のモルタル吹付工に対し、草木の侵入抑制、目地や隙間の低減、景観や環境への配慮を重視した技術が提案されています。たとえば、島根県の公開資料では、防草対策における従来工法をモルタル吹付工としつつ、目地や側溝等に隙間が生じにくく、長期間草木の侵入を防ぎやすい土系吹付技術が紹介されています。これは、道路脇法面の防草対策が、今後は「単なる被覆」から「維持管理性まで含めた法面保護」へ進んでいく流れを示すものといえます。

そのため、道路脇の法面におけるモルタル吹付工は、今後も有力な選択肢であり続ける一方、現場条件によっては、防草性能や景観性、環境性に配慮した関連工法との比較検討がより重要になると考えられます。特に、交通量、維持管理頻度、周辺環境、法面勾配、湧水の有無、将来の補修性を踏まえたうえで、最適な工法を選定することが重要です。

株式会社ナルテックでは、道路脇法面に求められる安全性・耐久性・維持管理性を総合的に見据え、モルタル吹付工をはじめとする法面保護工の品質向上に取り組んでいます。防草対策を含めた法面施工は、見た目を整えるためだけの工事ではなく、道路機能を守り、将来の維持管理負担を減らし、防災・減災に貢献するための重要なインフラ整備であると考えています。