施工実績

施工実績

工事名 鳴竹一丁目地区急傾斜地崩壊対策法面工事(2工区)
発注機関 福岡県北九州県土事務所
施工場所 北九州市門司区鳴竹1丁目地内
Before
P0000041
特殊伐採状況
After
P0000127
特殊伐採状況

法面工事における特殊伐採工

安全な施工環境を確保するための重要な前工程

法面工事における特殊伐採工は、単なる伐採作業ではなく、後続する法面保護工・補強工・落石対策工を安全かつ確実に施工するための重要な前工程です。斜面上には、支障木、倒木のおそれがある立木、根系の発達した樹木、視界や施工動線を妨げる雑木が存在することが多く、これらを適切に処理しなければ、測量・調査・削孔・吹付・資材運搬・点検のいずれにも支障が生じます。法面工は斜面での高所作業そのものが災害リスクの高い工種であり、高所での危険作業を減らすことが労働災害防止に直結すると報告されています。

特に、急傾斜地や道路脇法面、住宅地背後の斜面では、通常の地上伐採では対応が難しい場面が少なくありません。そのため、ロープアクセス、高所での分割伐採、吊り下ろし、狭隘部での安全確保などを伴う特殊伐採が必要になります。こうした現場では、単に木を切るのではなく、伐採対象木の状態、傾斜、周辺構造物との離隔、伐倒範囲、退避場所、かかり木処理、災害時の応急措置や搬送方法まで含めた作業計画が重要であることが、厚生労働省の検討会報告や安全対策資料でも示されています。

法面工事において特殊伐採工が重要とされる理由は、大きく三つあります。
第一に、施工安全性の確保です。支障木を残したままでは、落枝・倒木・視界不良・足場不良により、斜面上の作業リスクが高まります。
第二に、施工品質の確保です。測量、墨出し、削孔位置の確認、法枠配置、ネットや吹付材の施工精度は、支障木の有無に大きく左右されます。
第三に、維持管理性の向上です。施工後も樹木が過度に近接していると、法枠や吹付面の変状確認、落石防護施設の点検、排水施設の維持管理に支障が出るため、初期段階での整理が重要です。道路土工構造物の点検要領でも、モルタル吹付けや落石防止ネットなどの変状確認が重要な点検対象として挙げられています。

また、特殊伐採工は安全衛生管理の徹底が不可欠です。厚生労働省は、伐木作業等の安全対策について、業種を問わず林業、土木工事業、造園工事業など伐木を行うすべての業種を対象に規制を強化しており、事前調査、作業計画、保護具、退避、危険防止措置の徹底を求めています。さらに近年の資料でも、地形・地盤の状態を事前に確認し、機械の転落や地山の崩壊を防ぐ対策が求められています。これは、法面工事に付随する特殊伐採工でも同様に重視すべき考え方です。

実務上、特殊伐採工は「付帯作業」と見られがちですが、実際には法面対策全体の成否を左右する工程です。たとえば、伐採が不十分なまま工事を進めると、後施工のラス張工、吹付工、法枠工、鉄筋挿入工、落石対策工の作業効率が低下し、危険作業も増えます。逆に、特殊伐採工を適切に行うことで、施工ヤードや作業帯が明確になり、後続工の品質・安全・工程管理が大きく改善します。これは法面工において高所作業を減らすことが安全性向上につながるというICT活用事例の考え方とも整合します。

今後の将来性という面でも、法面工事における特殊伐採工の重要性は高まると考えられます。インフラ老朽化対策、急傾斜地崩壊対策、道路法面補修、盛土・切土法面の点検補修が増える中で、既設斜面に近接した樹木処理の需要は引き続き高いとみられます。また、狭隘地・急傾斜地・供用中道路脇など、機械化だけでは対応しにくい現場では、特殊伐採工の技能と安全管理能力が、現場対応力そのものになります。盛土等の安全対策ガイドラインでも、切土法面や斜面の安定性への配慮が前提となっており、周辺条件を踏まえた事前対応の重要性が示されています。

株式会社ナルテックでは、法面工事における特殊伐採工を、単なる支障木処理ではなく、安全・品質・工程を支える重要な前工程として位置づけています。斜面条件や周辺環境を的確に見極め、後続する法面保護工・補強工が安全かつ円滑に進む施工環境を整えることで、防災・減災に資する法面工事の品質向上に取り組んでまいります。