施工実績

施工実績

工事名 呼野道原徳吉線(大字頂吉)災害防除工事(6-1)
発注機関 北九州市
施工場所 北九州市小倉南区大字頂吉
着工前
RIMG1150
完成
RIMG0482

峠道におけるニューレスプ工法とショートハンガー工法を用いた法面安全対策

峠道の法面は、急勾配・狭隘地・連続カーブ・見通しの制約といった条件が重なるため、一般的な道路法面以上に高度な安全対策が求められます。特に、老朽化した吹付法面の劣化、浮石や表層の不安定化、さらには落石の発生リスクが重なる現場では、単一工法ではなく、法面そのものの再生道路利用者を守る落石対策を組み合わせた総合的な対応が重要です。そこで有効なのが、ニューレスプ工法ショートハンガー工法を組み合わせた法面安全対策です。ニューレスプ工法は、既設吹付モルタル・コンクリートをはつり取らずに補修・補強して法面機能を回復・向上させる工法であり、ショートハンガー工法は、新型アンカーにより吊ロープを短尺化し、施工面積を大幅に縮小できる落石防護網工法です。

ニューレスプ工法の大きな特長は、既設吹付面を撤去しないことにあります。従来の老朽化吹付法面対策では、既設吹付のはつり取り後に再吹付を行う方法が一般的でしたが、この方法は大規模な仮設、防護対策、多量の産業廃棄物、さらには風化した背面地山の扱いの難しさといった課題を抱えていました。これに対しニューレスプ工法は、補強鉄筋工、背面空洞注入工、せん断ボルト工、法面清掃工、繊維補強モルタル吹付工などを組み合わせることで、既設吹付法面を効率的に再生し、長寿命化を図る考え方です。峠道のように施工ヤードが限られ、交通への影響を最小限に抑えたい現場では、この「はつらない補修」は非常に合理的です。道路法面では、工事中に通行車両へ破片が直撃する心配を抑えられる点も利点として示されています。

一方、ショートハンガー工法は、落石対策をより狭い施工条件で成立させやすい点に強みがあります。東京製綱の資料では、従来のポケット式ロックネットに比べて、新型アンカーの採用により吊ロープを短尺化し、施工面積を大幅に縮小できるとされています。これにより、上部用地に余裕が少ない峠道法面や、道路に近接した急傾斜地においても、施工用地や買収範囲を抑えながら落石防護網を設置しやすくなります。つまり、法面表層や既設吹付の劣化対策をニューレスプ工法で行い、そのうえで落石捕捉機能をショートハンガー工法で補完することで、法面安定化と第三者被害防止を両立しやすくなるわけです。

峠道でこの二つの工法を組み合わせる意義は大きく三つあります。
第一に、通行車両に対する安全性の向上です。峠道では落石の発見が遅れやすく、回避余地も小さいため、道路側で落石を受け止める仕組みが重要です。ショートハンガー工法はその受け皿として機能します。
第二に、法面自体の劣化進行を抑えられることです。既設吹付法面の背面空洞や密着性低下、不安定化をニューレスプ工法で補修・補強することで、落石や剥離の原因そのものに手を打てます。
第三に、狭隘地での施工合理性です。ニューレスプ工法は簡易な防護柵で施工しやすく、ショートハンガー工法は施工面積を縮小できるため、峠道特有の限られた施工条件に適応しやすい組み合わせといえます。これは公開資料に基づく性能整理から導ける実務的な評価です。

また、維持管理の観点から見ても、この組み合わせは将来性があります。峠道の法面は、降雨、凍結融解、落葉、湧水、経年変化の影響を受けやすく、補修と予防保全を繰り返しながら使い続ける発想が重要です。ニューレスプ工法は既設吹付面を活かしながら長寿命化を図る工法であり、ショートハンガー工法は限られた空間で落石防護機能を付加しやすい工法です。そのため、全面撤去・全面更新に比べて、工程・安全・環境負荷・施工条件のバランスを取りやすい対策として位置づけられます。

株式会社ナルテックでは、峠道における法面安全対策において、法面の再生技術落石防護技術を適切に組み合わせることが重要だと考えています。ニューレスプ工法によって既設吹付法面の補修・補強を行い、ショートハンガー工法によって道路利用者の安全確保を図ることで、厳しい道路条件の中でも、より安全で合理的な法面対策を実現してまいります。法面は守るだけでは不十分で、道路利用者まで守って初めて仕事が完成します。峠道では、その差がはっきりでます。

ニューレスプ工法 https://www.nittoc.co.jp/technology/